夜間中学の特集(NHKおはよう日本から):音声のみです

NHKおはよう日本で夜間中学のことが取り上げられました。日本国内で義務教育を十分に受けたことがない人々は、国勢調査で約90万人とされますが、不登校や外国人労働者の増加により、実際はそれ以上と考えられています。

 

夜間中学に関する法整備の意義を考える

長年の夜間中学の取り組みがようやく法律に反映されたのは、平成も終わりに近づいたころです。この時期に以下の法律や通知、基本方針が成立しました。

■平成二十八年法律第百五号 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律

■義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針(平成29年3月31日文部科学大臣決定)

■義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針(平成29年3月31日文部科学省策定)

 

これらの文書の詳細はネットでも見ることができますので、ここでは夜間中学に関連する部分についてその意義について考えてみましょう。

法律では第一に不登校児童に対する教育機会の確保のことが強調されています。年齢、国籍に関わらず自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができる教育水準を基本理念としています。不登校児童は年々大きな課題となっています。また、国籍に関わらず、ということは移民や外国人労働者、また従来からの在日外国人(外国にルーツを持つ人々)のことを視野に入れたものです。

第二に、夜間中学については、就学の機会を提供できるものとして位置づけられています。その提供主体は、①都道府県の知事、教育委員会、②市町村長及び教育委員会、③民間団体となっています。私たちの自主夜間中学は、公的制度としての学校教育の場ではありませんが、この法律によって法律上の位置づけが認められるものとなります。

第三に、教育機会の確保には、国民の理解と増進、人材の確保が必要であるとしています。私たちはなにより市民の人びとの理解が一層進むことを期待しています。

次に基本指針の内容を見てみましょう。

基本的な考え方として、不登校というだけで問題行動と受け取られないよう配慮することが明記されています。また外国人の子供に対する配慮も必要としています。不登校が生じる原因として、いじめ、暴力行為、体罰などが挙げられますが、それらを許さない学校づくりを求めています。このことは現在の公教育制度の課題だと認識されています。 

夜間中学については、①設置を促進すること、②すでにある夜間中学の教育内容の充実、③自主夜間中学に係わる取組、が明記され、さらに義務教育を修了していない人々に加えて、外国籍の者、入学を希望する既卒者(学び直し)、不登校となっている学齢生徒など、多様な生徒の受け入れを図るとしています。

日本の社会は大きく変化しつつあります。同質の社会から、多様な社会へと移行しているのです。反面、社会が活力を失いつつあるという懸念もあります。それらについての認識とと行動が出発点である、ということを遅まきながらこれらの法律や通知が明確にしています。課題の解決には多くの人々の協力と支えが必要です。私たちはこれからも模索していきたいと思います。

 全国自主夜間中学関連関連情報:全国自主夜間中学 (sakura.ne.jp)

 

せいわ自主夜中会則