総会特別アピール
しかし数か月前、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による悲惨な破壊が始まり、何百万人もの人々が故国を離れるという映像と報道は、日本政府にも人権について本気で考えることを迫ってきました。
日本はこれまで移民(亡命者や避難民を含む)に対して、大変冷淡な政策を取り続けてきました。それは政府のみならず、私たちの関心のあり方にも拠ってきたのでしょう。しかしほんの数か月前、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による悲惨な破壊が始まり、何百万人もの人々が故国を離れるという映像と報道は、日本政府が国外の避難民の人権について本気で考えることを迫ってきました。日本政府はウクライナから日本へ避難してきた人々に「「避難民」として、「手厚い」支援を開始しました。これをきっかけとして、私たち自身が様々な外国にルーツを持つ人々を学びの場で支援するとはどういうことなのか、あらためて改めて考えさせることになりました。
今はウクライナの避難民のことが大きく注目されていますが、それ以外にも日本社会で生きていくために、中学校レベルの生活言語、知識を必要とする人々は数多く在住されています。いまや全人口の100人に2~3人、東京都など都市部では10人~20人がそのような人々なのです。
私たちの西和自主夜間中学校の原点は、奈良県西和地区の斑鳩町にあった人材派遣会社に雇われていた、南米系の外国外国人労働者の雇用と、その生活問題の支援を始めたことにあります。現在に至る20数年間に、日本人であってもいろいろな事情から中学校教育を受けられなかった人々を始め、外国にルーツを持つ人々、そして近年では外国人技能労働者とそのご家族など、多様な人々に応じた学習支援を行ってきました。私たちの考える学習支援とは、日本語を教えるにとどまらず、日本社会で自立した生活が可能になることを目指しています。それは優れて人権の課題だと思われます。日本はこのような人々の力を必要とし、共生をしなければならない社会に移行しているのです。せいわ夜間中学校の生徒さんのルーツの多様性は、今日の日本社会を写した縮図でもあります。
ウクライナ避難民のことをきっかけとして、日本社会が多様な人々と共にあることを改めて思い、そのような人々への支援を行うことへの理解と支援がもっと進むことを私たちは願って止みません。そして、私たちは、教室でいつでも「ただ今、、勉強中です!」です。